「将来の夢は?」クラスの男子がこぞって書いたあの職業
小学校の頃、卒業文集や流行りのプロフィール帳に「将来の夢」や「宝物」を書く欄が必ずありましたよね。僕の周りでは、男子の何人かが決まってこう書いていました。
「将来の夢:ゲーム会社に入ること」
そして「宝物」の欄には、誇らしげに「プレイステーション」とか「スーパーファミコン」って。あの頃、ブラウン管の向こう側で僕らを熱狂させてくれたゲームを作る仕事は、本当にキラキラして見えたものです。ゲーム業界そのものが、とてつもない勢いで坂道を駆け上がっていた時代でした。
先日、書斎の奥から引っ張り出してきた90年代のゲーム雑誌をめくっていると、そんな当時の熱気と、ちょっぴりビターな現実が詰まったページを見つけてしまいました。

「絶対プロになる!」専門学校の広告が燃えすぎていた
ページを開くと目に飛び込んでくる、強烈なキャッチコピーの数々。当時のゲーム専門学校の広告は、僕らみたいなゲーム小僧の心を鷲掴みにする、熱い言葉で溢れていました。
【絶対プロになる! 最強の研究所設立!!】
プロのデジタル・クリエイティブ集団「フューチャー・パイレーツ」と産学共同プロジェクト「ERP」を設立! 実際に発売されるゲームを作り、ゲームビジネスの現場を体験する、全く新しいかたちのカリキュラム。これで君も憧れのゲーム業界で活躍できる!!
「実際に発売されるプレイステーションのゲーム開発に携わる」なんて書かれたら、もうたまりません。課題じゃなくて「実践」。机の上での勉強じゃなくて、いきなりプロの現場へ。そんな夢のような言葉が、雑誌の中でギラギラと輝いていました。

顔写真つき!大手ゲーム会社への就職実績こそが勲章だった
そして、広告の熱量をさらに高めるのが、圧倒的な「就職実績」のアピールです。
【ダントツ全国第一位!! 「東京ゲームデザイナー学院」の圧倒的実績】
’98年卒、ゲーム会社就職者数(専門職社員)ダントツ全国第一位!! 伝説が又、新たな伝説を!!
何ページにもわたって掲載された、卒業生の顔写真と就職先のリスト。そこには、当時のゲーマーなら誰もが知る、憧れの企業名がズラリと並んでいました。
- 矢端Kさん(ゲームデザイナー科2年制) 就職先/サミー
- 津嘉山Aさん(キャラクターデザイン科1年制) 就職先/日本ファルコム
- 小池Yさん(ゲームデザイナー科2年制) 就職先/日本テレネット
- 浅尾Yさん(ゲームキャラクターデザイナー養成講座 全日1年制)就職先/ソニー・コンピュータエンタテインメント
ソニー、ファルコム、サミー…。彼らが作ったゲームにどれだけのお小遣いと時間を注ぎ込んだことか。このリストに載っている先輩方は、僕らにとってスターそのものでした。今頃、業界のベテランとして、僕らが知らないどこかで活躍されているのかもしれませんね。
一方、開発現場の本音は…「親の金で2年遊んでただけ」!?
そんな華やかな広告の数ページ先。ふと目にしたクリエイターのコラムで、僕は冷や水を浴びせられることになります。開発現場の最前線にいる人が語る、「専門学校卒の新人」に対するリアルな視点です。
【★ゲーム業界に入るとき 持ってくるべきもの?】
最近の新入社員は、やはりゲームの専門学校を卒業してくる人が多くなってきたのですが、昔、僕の行っていたメーカーの開発部では、「ゲームの専門学校」はあまり良い印象ではありませんでした。スタッフには「親の金で2年間遊んでただけのオ〇〇」程度に認識されていた時期がありました。
…強烈な一言ですよね。広告の「即プロとして活躍!」という言葉との、あまりの温度差。子供心に「うわ、プロの世界って厳しいんだな…」と震え上がったのを覚えています。
でも、このコラムはただ厳しいだけではありませんでした。続きには、現場が本当に求めている人材について、こう書かれていたんです。
グラフィッカーの友だちと電話していて「こういう人間が良いな」というときは、美術の専門学校(もしくは芸大)で、デッサンや配色の勉強をしっかりやっていて、パソコンには詳しくなくても、ツールを「おもしろがって」使ってくれる人が一番かな、という話になります。
あとは「どんなゲームが好き?」と聞いたときに、たとえちょっと偏っていても、「〇〇のこれこれこういうトコロが好きなんスよ」とちゃんと言える人は、いっしょに仕事をしたいと思うことが多いですね。
結局のところ、問われていたのは「専門学校卒」という肩書ではなく、もっと根本的なデッサン力のような基礎技術と、何よりも「どれだけゲームを偏愛しているか」という熱量だったんですね。これはきっと、今も昔も変わらない、もの作りに関わる人たちの真理なのかもしれません。
あの頃の熱狂をもう一度、手元に。
広告の熱さと現場のリアル。その両方を知るクリエイターたちが、情熱を注ぎ込んで生み出した名作たち。あの頃の輝きを、もう一度その手で感じてみませんか?
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まとめ
華やかな広告で夢を語り、一方で厳しいプロの洗礼がある。この光と影のコントラストこそが、90年代のゲーム業界が持っていた抗いがたい魅力だったように思います。
「将来の夢はゲームクリエイター」と書いた、あの頃の自分。夢は叶わなかったけれど、ページをめくるたびに蘇る熱い気持ちは、今でも僕にとって最高の宝物です。皆さんの「将来の夢」は、何でしたか?





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