血の涙を流したメモリーカード管理
90年代、僕らの冒険のすべては、あの小さなプラスチックの板…プレイステーションのメモリーカードに刻まれていました。容量はわずか15ブロック。RPGのクリアデータが3ブロック、お気に入りのレースゲームのゴーストデータが1ブロック…。どのセーブデータを残し、どれを消すか。それはまさに究極の選択でしたよね。
友達の家で自慢のデータを披露しようとしたら、「ごめん、俺のメモカもうパンパンだわ」なんて言われたり。増え続けるメモリーカードを専用ケースに入れて、タイトルを手書きのシールで管理していた人も多いんじゃないでしょうか。

当時の雑誌に掲載されていたプログラマーの方のコラムが、まさに僕らの心の叫びを代弁してくれています。
PSを使っていて、ともかく「不便だな」と思うものが、少なくとも僕には1つあったのだ。それは「メモリーカードの中身の整理」。
ともかく、僕のようにレビューをやっていて何十枚もメモリーカードがあると、カードが2つしか使えなくて、整理が難しいというか面倒くさいメモリーカード管理ツールには、ほとほと困らされていたわけだ。
で、ないときには作ってしまえで、今度の増刊号では、それを作ってしまいました。
プロですら「不便だから自分で作っちゃった」というのですから、その切実さが伝わってきます。「ないものは作る」という、あの時代のDIY精神と熱量そのものですね!
テラバイトは当たり前!セーブデータは雲の上へ
さて、時代は流れて202x年代。今のゲーム機のストレージ事情はどうなっているでしょう?
最新のゲーム機は、数百ギガバイトから1テラバイトを超えるSSDを内蔵。ゲームソフト本体を丸ごと何十本もインストールできるのが当たり前になりました。「ブロック」なんて単位、もう聞くこともありません。メガ、ギガ、そしてテラ…当時から見れば天文学的な数字です。
さらに決定的なのが「クラウドセーブ」の存在。ゲームのセーブデータは、インターネットを通じて自動的にメーカーのサーバー(雲の上)に保存されます。これにより、本体が壊れても、友達の家で遊ぶときも、自分のアカウントでログインさえすればいつでもデータにアクセスできるのです。もう、メモリーカードを物理的に持ち運ぶ必要も、容量を心配する必要もなくなりました。
不便さが育てた「データへの愛着」
現代の快適さは、言うまでもなく素晴らしいものです。容量を気にせず心ゆくまでゲームに没頭できる環境は、あの頃の僕らが夢見た未来そのものでしょう。
でも、ふと思うんです。あの不便さがあったからこそ、一つ一つのセーブデータに特別な愛着が湧いていたんじゃないか、と。
100時間かけてクリアしたRPGのセーブデータは、まさに戦友。限られた15ブロックの中から、どれを残すか真剣に悩んだ時間は、ゲームの思い出の大切な一部でした。手触りのある「モノ」としてデータを管理していたあの感覚は、クラウド時代にはない、独特の温かみがあったのかもしれません。
便利さと引き換えに、僕らがどこかに置いてきてしまった、小さなロマン。そんなことを思い出させてくれる、懐かしい雑誌の1ページでした。
あの頃、たった15ブロックのやりくりに血の涙を流していた僕らへ。今は、その100万倍の容量が指先に乗る時代です。最新の爆速ストレージで、もう容量不足に怯える必要はありません。




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