「たーる!」で爆発した青春。僕らが『マリーのアトリエ』の図鑑埋めに熱狂した90年代の記憶

雑誌の付録CD-ROMが、僕の錬金術の始まりだった

「世界を救うのは、もうやめた。」

1997年、このキャッチコピーが僕らの心を鷲掴みにしました。当時、まだ小学生だった僕にとって、RPGといえば勇者が魔王を倒し、世界に平和を取り戻す物語が当たり前。そんな中、突如現れたのが『マリーのアトリエ ~ザールブルグの錬金術士~』でした。

僕とこのゲームの出会いは、毎月楽しみにしていたゲーム雑誌の付録についてきた体験版のCD-ROM。最初は「なんか絵が可愛いな」くらいの軽い気持ちで始めたんです。ところが、アイテムを調合し、妖精さんを雇い、自分だけのアトリエを切り盛りしていく独特のシステムに、あっという間に心を奪われました。

「何、女の子がやるようなゲームやってんの?」

隣で見ていた姉にからかわれたのを、今でも鮮明に覚えています。でも、素材を集めて釜に入れ、例のボイス「たーるっ!」を聞いてアイテムが完成するのを見ているうちに、その姉もすっかり夢中に。いつの間にか、二人で攻略法をああでもないこうでもないと議論するようになっていました。あの頃の熱気、ザラついたブラウン管のテレビ画面、プラスチックのコントローラーの感触。すべてが昨日のことのように思い出されます。

世界を救わないRPG。「火の玉マリー」と呼ばれたあの日々

発売から2ヶ月も経つと、雑誌では「ネタバレ御免!」の全エンディング特集が組まれ始めました。そう、このゲームの最大の魅力は、プレイヤーの5年間の過ごし方でマリーの未来が6通りにも分岐することでした。

  • 伝説の人: 全てを極め、シアと共に旅立つ最高のエンディング。
  • 街の救世主: 魔人ファーレンを倒した結果、なぜか「火の玉マリー」「爆弾娘」と呼ばれる武闘派に…。
  • 研究者: アイテム図鑑をコンプリートしてたどり着く、錬金術士としての栄誉。
  • アカデミーの先生: あの落ちこぼれだったマリーが、イングリド先生と同じ立場になる胸熱展開。
  • ノーマルエンディング: 「トホホ」な結果に終わる、ちょっとほろ苦い結末。
  • バッドエンディング: イングリド先生の「あなたは留年よ!!」という怒声がトラウマレベルの最悪の結末。

複数の条件を満たすとエンディングに優先順位があるなんて、当時の僕らは知る由もありません。「なんでまたこのエンディングなんだよ!」と一喜一憂しながら、何度も5年間をやり直したものです。世界を救う壮大な物語はなくても、一人の女の子の未来を自分の手で切り拓く。その手触り感が、僕らを虜にしたのです。

エンデルク様は最強!エアフォルクの塔に篭もった青春

エンディングを目指す上で、避けて通れないのが冒険者たちとの交流と戦闘。僕が好きだったのは、なんと言っても最強の騎士、エンデルク様!彼の圧倒的な強さには、ただただ「エンデルク様〜!」と憧れるばかりでした。

雑誌の攻略記事には「エアフォルクの塔で経験値稼ぎ!」なんて書いてあって、ひたすらマリーの必殺技で敵をなぎ倒し、レベル上げに没頭。最強の武器を作るためにヴィラント山でグラセン鉱石を掘りまくったのも良い思い出です。

ただ、一つだけ心残りなのが、神出鬼没の怪盗デアヒメル。当時はどうしても捕まえることができませんでした。今やれば、もっと上手くやれるんだろうか…。そんな小さな悔しさも、このゲームが心に刻み込まれている証拠なのかもしれません。

PCの壁紙までマリー一色!止まらないメディアミックスの熱狂

ゲーム本編の人気は凄まじく、その熱はゲームの外にも広がっていきました。Windows 95やMacintosh対応の『マリーのアトリエ・データアカデミー』なるファンディスクまで発売されたのです。

壁紙集やアイコンデータが満載で、家のPCのデスクトップをマリー一色にカスタマイズした友人もいました。今でこそ当たり前ですが、当時は自分のPCを好きなゲームの世界観で染め上げられるなんて、夢のような話だったんです。

その他にも、フィギュアやテレフォンカード、各種攻略本に小説版まで…。ゲームという一つの作品から、これだけ多くの世界が生まれていく様を目の当たりにして、僕らは「マリー」というカルチャーそのものに熱狂していたんだなと、今改めて感じます。

あの頃の熱狂を、もう一度その手に。

ブラウン管の前で、姉とコントローラーを取り合ったあの日々。図鑑の最後の一枠が埋まらずに、何度も素材を探しに出かけた冒険。あの頃のドキドキを、もう一度味わってみませんか。

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まとめ

『マリーのアトリエ』は、ただのゲームではありませんでした。それは、僕らに「壮大な目標だけが全てじゃない」「日々の積み重ねが未来を作る」という、ささやかで、だけどとても大切なことを教えてくれた、90年代という時代の教科書のような存在だったのかもしれません。

もしあなたが本棚の奥で眠っている攻略本を見つけたら、ぜひもう一度開いてみてください。そこにはきっと、「たーる!」の声と共に、キラキラしていたあの頃の思い出が詰まっているはずですから。

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