箪笥の上、15インチの「聖域」
HDMIなんて言葉も知らなかったあの頃。僕のゲーム環境は、なぜか親の寝室にある箪笥の上に置かれた、メーカー不明の15インチくらいの黒いブラウン管テレビでした。実家はリビングに東芝の24インチがあったのに、ゲームだけはなぜかこの小さな画面。見上げるような体勢で、首を痛くしながらコントローラーを握りしめていたのを思い出します。
そんな僕にとって、家電量販店のテレビ売り場はまさに未来そのもの。特にゲーム雑誌で特集されていた「ゲーマー向け」を謳う高級テレビは、手の届かない憧れの存在でした。中でも、当時の雑誌が熱狂的に紹介していたのが、東芝の「FACE」です。
雑誌で見た「テレビを超えるテレビ」の衝撃
当時の雑誌をめくると、こんな熱い言葉が並んでいます。
ゲームは日々刻々、分刻みで進化し続けている。しかし、最終的にテレビをモニターとして使う以上、その画像精度には自ずと限界があった・・・・・・。そして、今、ついにテレビを超えるテレビが登場した!
そう、それが東芝FACE。僕らが赤・白・黄色のAVケーブルで満足していた時代に、このテレビは遥か未来を走っていました。
LOOK!フラットワイドの正統派
何より衝撃だったのが「フラット画面」であること。ブラウン管特有の画面の丸みがなく、隅々まで歪みなく表示される。雑誌に載っていた「一流のフォルム」というキャプション付きの写真は、まるでSF映画の小道具のようでした。画面の端のHPゲージがまっすぐ見えるだけで、どれだけ感動したことでしょう。
ゲーマー専用S端子とワンタッチボタン
そして、画質を語る上で欠かせないのが「S端子」の存在です。AVケーブルに比べて色の滲みが少なく、クッキリとした映像が楽しめるS端子は、当時のゲーマーにとって最高の贅沢でした。この東芝FACEは、なんと3つもあるS端子の1つが「ゲーム専用」。しかもワンタッチで切り替え可能という至れり尽くせりの仕様。ゲーム機のために専用設計された端子がある、という事実だけでご飯3杯は食べられそうなくらい興奮しました。

RPGしながらW杯観戦? ダブルウインドウという未来
極めつけは「ダブルウインドウ機能」。テレビ放送とゲームを同時に2画面表示できるという、もはや魔法のような機能です。
- RPGのレベル上げをしながら、最新ニュースをチェックする。
- サッカー日本代表の試合中継を見ながら、隣でサッカーゲームをプレイする。
雑誌が提案する「凝った楽しみかた」は、小さなテレビでひたすらゲーム画面と向き合うだけの僕には、あまりにも眩しすぎました。アドベンチャーゲームの「恐怖の演出」を大画面で楽しむなんて、想像しただけで鳥肌が立ったものです。
商品提案セクション
もうあの分厚いブラウン管テレビに戻ることはないけれど、あの頃のゲームがくれた熱狂は、今だって手に入れることができます。
ブラウン管の走査線や温かみまでは再現できなくても、思い出のドット絵は色褪せない。あの頃の熱狂をもう一度、その手に。
まとめ
今や4K有機ELが当たり前になり、ゲーム画面は実写と見紛うほどになりました。でも、箪笥の上を見上げた15インチの画面の隅に表示されるドット絵のアイテムや、雑誌で見た憧れのフラットテレビに思いを馳せたあの気持ちは、今の便利さとは違う、かけがえのない宝物だったのかもしれません。あなたのブラウン管テレビの思い出は、どんなものでしたか?





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