「洋ゲーは酔うゲー」は真実か? 1996年、僕らがブラウン管の前で喰らったプレステ黎明期の衝撃

「洋ゲーは、酔うゲーより良いゲーなのだ!」の時代

1996年。ブラウン管の向こう側で、カクカクのポリゴンが世界を再構築し始めたあの頃。僕らは未来の到来に胸を躍らせると同時に、未知の感覚に戸惑っていた。そう、「3D酔い」だ。

今でこそ当たり前の3Dゲームも、当時はまだ身体が追いつかない未知の体験。「なんかクラクラする」「吐きそう…」なんて声が、そこかしこから聞こえてきた。当時の雑誌をめくると、「SCE三姉妹」なんていうナビゲーターキャラが、僕らの気持ちを代弁してくれている。

ERI: 「え〜、やだ〜、クラクラとかジャンプとかニガテー。吐きそうになるんだもん〜」
CHIE: 「それは、酔うゲーや。ポン」

この「酔うゲー」の筆頭格とされていたのが、いわゆる「洋ゲー」だった。どこかスタイリッシュで、どこか尖っていて、そして圧倒的なスピード感を持つ海外製のゲームたち。それは僕らにとって、憧れと戸惑いが入り混じった存在だったんだ。

そんな「洋ゲー」の中でも、僕が特に喰らった一本がある。それが『デストラクション・ダービー』だ。

ルール?順位?そんなものは二の次。とにかくアクセルを踏み込み、ライバル車に突っ込んで、派手にぶっ壊す。ただそれだけ。画面の中で火花と鉄クズが舞い散るたびに、脳内で何かが弾けるような感覚があった。やり方が合ってるかなんてどうでもよかった。ただ、目の前のクルマを破壊する。その原始的な衝動が、たまらなく楽しかった。

このゲームの狂気は、作り手からして本物だったらしい。当時のSCE担当者の証言が、そのイカれっぷりを物語っている。

「ゲームデザイナーのマーチン・エドモンズは実際の競技に出場したんですが、前歯を折ってしまいました」

そりゃそうだろ!と、当時の僕は膝を打った。あの狂気は、本物の痛みを知る人間からしか生まれない。理屈じゃない、魂のゲームだったんだ。

理屈じゃない!ただ、ぶっ壊す快感『デストラクション・ダービー』

狂気と対極の「洗練」、『WIPEOUT』というアート

一方で、「洋ゲー」は狂気だけじゃなかった。時代を先取りしすぎた、アートと呼ぶべき作品も存在した。その代表格が『WIPEOUT』だ。

近未来の都市を反重力マシンが駆け抜ける。そのスピード感はまさに「酔うゲー」そのものだったが、それを補って余りある魅力があった。それもそのはず、ジャケットやロゴデザインを手がけたのは、イギリスの伝説的デザイン集団「デザイナーズリパブリック」。テクノミュージックが鳴り響く中、洗練されたビジュアルが画面を流れていく様は、もはやゲームというより一つの映像作品、カルチャーそのものだった。

ぶっ壊す『デストラクション・ダービー』と、研ぎ澄まされた『WIPEOUT』。この両極端な魅力こそが、僕らを「洋ゲー」の沼に引きずり込んでいったんだ。

狂気と対極の「洗練」、『WIPEOUT』というアート

雑誌もイベントも…すべてが本気だったあの熱量

この面白さを伝えようと、メディアも必死だった。「洋ゲー3種TRIATHLON」なんていう、今考えると無茶苦茶な雑誌企画まであったくらいだ。

  • 『デストラクションダービー』:何秒生き残れるかを競うサバイバル!
  • 『WIPEOUT』:ひたすら腕を競うタイムトライアル!
  • 『ESPNストリートゲームス』:ベストタイムを叩きだせ!

ゲーム大会には中高生から家族連れまでが詰めかけ、コンピュータ相手に勝利する猛者が会場を沸かせる。たかが「洋ゲー」、されど「洋ゲー」。一つのジャンルが、確実に日本に根を張り始めた瞬間の熱気が、そこにはあった。

雑誌もイベントも…すべてが本気だったあの熱量

あの頃の熱狂をもう一度、手元に。

ブラウン管の前で画面に酔いながらも、コントローラーを握りしめたあの日の衝動。理屈抜きの面白さを、もう一度その手に取り戻しませんか?パッケージを眺めるだけでも、きっと何かが蘇るはずです。

🔍 「デストラクション・ダービー」を各ショップで探す

🔍 「ワイプアウト」を各ショップで探す

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まとめ

「洋ゲーは酔うゲー」。そんな風に少しだけ壁があった時代から四半世紀以上が過ぎた。今や「洋ゲー」なんて言葉は死語になり、世界中のAAAタイトルが発売日にプレイできるのが当たり前になった。

でも、あの頃の「酔い」や「戸惑い」があったからこそ、今の快適な3Dゲームがあるのかもしれない。そして、あの理不尽なまでのスピードや、意味不明だけど記憶に残る『ESPN』の「フェルナンデス・ザ・チキン2世」のような狂気が、僕らのゲーム体験を豊かにしてくれたことは間違いない。

あなたの記憶の中にも、そんな忘れられない「洋ゲー」は眠っていないだろうか?

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時の管理者|note
1990-00年代を中心にゲーム、音楽、テレビの記憶を当時の技術背景や世相から深掘りします。失われゆく「あの頃」の手触りをデジタルで保存中。ブログでは書けない濃密な裏話を有料記事で公開しています。ブログ:

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