日本中が「ツイてる!」と叫んだ日韓W杯。俺たちの熱狂は本物だった

はじめに:ブラウン管の前で、僕らは本気だった

2002年、僕はまだ雪国でサッカーボールを追いかける中学生だった。プロの試合なんてほとんど見なかったけど、ワールドカップだけは別。ましてや自国開催だ。学校中の誰もが、来るべきお祭りに胸を躍らせていた。

当時の僕らにとって、世界の強豪との力関係なんて、正直『ウイニングイレブン』のパラメータが全てだった。友達の家でコントローラーを握りしめ、「ロシアはフィジカル強いけど、日本のテクニックでいける」なんて、本気で語り合っていたんだ。

そんな熱狂の渦中にあった2001年末、本棚から引っ張り出してきた『週刊プレイボーイ』が、あの頃の異常なまでの楽観と興奮を、生々しく伝えてくれた。

「ツイてる!」日本中が歓喜した“神クジ”の記憶

運命の組み合わせ抽選会。日本のグループHの相手がベルギー、ロシア、チュニジアに決まった瞬間、日本中の空気が一変したのを覚えているだろうか。

当時の週プレが行ったサッカー関係者100人へのアンケートでは、「まあまあ(42人)」「ツイてる!(40人)」という声が実に8割以上を占めた。記事には、サッカージャーナリスト・富樫洋一氏の「H組はものすごく楽。まるで図ったようだね(笑)。これで決勝トーナメントに行けなかったらダメでしょう」という、今では考えられないほど強気なコメントが載っている。

確かに、ドイツやアルゼンチンのような優勝候補がいない。苦手なアフリカ勢もいない(チュニジアはアラブ系)。ウイイレの能力値を見ても、決して勝てない相手じゃない。僕らサッカー少年だけでなく、大人たちも、メディアも、国全体が「これはいけるぞ」という巨大な高揚感に包まれていたんだ。

突破確率「64.8%」が示した、夢と現実の境界線

記事はさらに熱を帯びる。「ズバリ、日本代表1次リーグ突破の確率は?」という問いに対する平均値は、なんと「64.8%」。サッカー解説者の堀池巧氏や永島昭浩氏は「80%」、タレントの白石美帆さんに至っては「90%!」と断言している。

今、冷静に考えてみてほしい。ワールドカップで、グループリーグ突破の確率をこれほど楽観的に語れるだろうか。ドイツやスペインを破ったカタールW杯の快進撃の後でさえ、ここまでの手放しの楽観論はなかった。でも、あの時は違った。自国開催という魔法が、僕らの現実感覚を麻痺させていたのかもしれない。

トルシエ監督の熱いキャラクターも後押しした。うちの母親ですら、通訳のダバディさんとセットで「あの監督は面白いわね」なんて言ってたくらいだから、その影響力は絶大だった。

皮算用は「ベスト4」へ。俺たちの希望の星、三都主アレサンドロ

そして、熱狂は「グループリーグ突破は当たり前」という前提のもと、さらなる高みへと向かう。「1位で通過すれば、ベスト16で超強豪とは当たらない。ベスト8で番狂わせを起こせば…ひょっとしてひょっとするかも!?」――記事は、本気でベスト4への道を計算し始めていた。

そんな快進撃のカギを握る選手として、期待の選手ベスト5の1位に輝いたのが、三都主アレサンドロだった。

  • 1位 三都主(23人)
  • 2位 柳沢(18人)
  • 3位 中田(英)(17人)
  • 4位 名波(13人)
  • 5位 森島(12人)

ブラジルから帰化し、代表に選ばれたばかりの左サイドのスペシャリスト。あの独特のフォームから繰り出されるドリブルとクロスは、僕ら中学生の目にも「何かを起こしてくれそう」なオーラに満ちていた。清水エスパルスからやってきた救世主の登場は、日本の攻撃力に最後のピースがハマったような、ものすごい頼もしさを感じさせたのを覚えている。

あの頃の熱狂をもう一度、手元に。

あのブラウン管の前で叫んだ夜、友達と語り合った放課後。
あの頃の、純粋で、どこまでも楽観的だった熱狂を、もう一度その手に取り戻してみませんか。

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まとめ:結果を知る今だからこそ、愛おしい熱狂

結果として、日本はベルギーと引き分け、ロシアとチュニジアに勝利し、見事にグループリーグを突破した。決勝トーナメント1回戦でトルコに敗れ、ベスト4の夢は叶わなかったけれど、あの時の熱狂は決してただの空騒ぎではなかったと思う。

それは、日本サッカーが新しい時代の扉をこじ開けた、歴史的な祝祭だったんだ。今、この雑誌を読み返すと、少し気恥ずかしいくらいの楽観論に笑ってしまう。でも、同時にどうしようもなく胸が熱くなる。結果を知っている今だからこそ、あの純粋な興奮が、たまらなく愛おしいのだ。

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