ゲレンデの神様はRVに乗っていた。97年の雑誌『Tokyo Walker』が記録した、スノボブームと「憧れの相棒」の熱い関係

親父のセダンと、眩しかった「隣のRV」

冬の匂いがすると、今でも思い出す光景がある。まだ夜が明けきらない週末の朝、親父がセダンの屋根にスキーキャリアを取り付け、ガチャガチャと音を立てながら家族分のスキー板を固定していく。僕にとって、それが冬の始まりの合図だった。

高速道路を走ると、横を追い抜いていく無骨でデカい四駆。車の上にボードを無造作に積んだハイラックスサーフや、風格漂うランドクルーザー。それに比べて、我が家のセダンは少しだけ窮屈に見えた。スキー場に着いても、彼らは広い車内で悠々と着替えている。凍える駐車場で震えながらウェアに着替えていた僕にとって、それは絶対的な「格の違い」であり、強烈な憧れの対象だった。

最近、書庫の奥から出てきた1997年の雑誌『Tokyo Walker』をめくっていたら、あの頃の憧れが、当時の若者たちのリアルな熱狂としてパッケージされているのを見つけてしまったんだ。

ビッグエアーの熱狂と、もうひとつの主役

1997年2月、札幌。日本で初めて開催されたスノーボードのストレートジャンプ大会「TOYOTA PRESENTS BIG AIR CONTEST in SAPPORO」。1万人以上の観客が、海外のトッププロが繰り出す異次元のエアに度肝を抜かれていた。スノーボードが単なるスポーツから、ひとつの巨大なカルチャーへと変貌を遂げる、まさにその瞬間だった。

誌面には「スノーボーダーも熱視線!」「ボーダーたちの期待に応えてジャンプ台横にズラリと展示」という熱い見出しが躍る。そう、この熱狂の渦中には、もうひとつの主役がいた。トヨタが誇る、最新のRV(レクリエーショナル・ビークル)車たちだ。

横乗り系ご用達!誌面を飾った「最強の相棒」たち

ページを飾るのは、当時の若者たちが喉から手が出るほど欲しがったであろう、タフでスタイリッシュなRVのラインナップ。そのキャプション一つひとつが、時代を雄弁に物語っている。

  • ハイラックスSURF SSR-X: 「サーファー&ボーダーと、横乗り系ご用達のユーティリティ抜群の1台。パワーも十分だ」
  • ランドクルーザー80 VXリミテッド: 「とにかくRVの王様ともいえる、パワフル&タフ&ハードなハイレベルのRV」
  • ランドクルーザープラド TZ: 「滑らかでスタイリッシュなボディは、街中でもピッタリのカッコ良さ。走りはもちろん、超タフだ」
  • RAV4 J 5ドア: 「RVのイメージを一新した人気のシティ派ビークル。オシャレなボディでパワフルな走り」
  • スプリンターカリブ ZツーリングRVパッケージ: 「モデルチェンジするたびにすべてが進化したアクティブ・ワゴンの代表格」

「横乗り系」なんて言葉、今じゃすっかり聞かなくなったけど、当時はこの一言が最高の誉め言葉だった。ただ雪道を走れるだけじゃない。カルチャーを理解し、ライフスタイルを体現する「相棒」としての価値が、そこにはあったんだ。

「やっぱ欲しいのはランクル80」90年代ボーダーのリアルな声

この特集記事が最高に「エモい」のは、会場にいた若者たちの生の声(BOARDER’S VOICE)を拾っているところだ。

「やっぱり欲しいのは、ランドクルーザー80です。どんな山道も大丈夫って感じで頼もしいですよね。買いたい!」(23歳男性&23歳女性)

「前から2人でRAV4がイイって話してたんです。でも、今日いろいろ見てみると、スプリンターカリブもイイですね」(25歳女性&21歳女性)

このリアルな会話!「どんな山道も大丈夫」という絶対的な信頼感。これこそ、僕が子供の頃に感じた憧れの正体そのものだ。雪深い山奥のゲレンデへ、仲間と、ギアと、音楽を詰め込んで向かう。RVは単なる移動手段ではなく、冒険を共にするための必須アイテムだったのだ。

あの頃の熱狂をもう一度、手元に。

ゲレンデで輝いて見えた、あの無骨で頼もしい相棒たち。
四角いフォルム、力強いエンジン音、そして仲間たちとの笑い声が詰まった広い室内。
もう一度、あの頃のスタイルに触れてみませんか?

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まとめ

スノーボード、ファッション、音楽、そして車。90年代後半は、様々なカルチャーが渾然一体となって、巨大なムーブメントを生み出していました。RV車が「シティ派」や「横乗り系ご用達」として個性を与えられ、若者たちのライフスタイルに深く食い込んでいた時代。

今回、古い雑誌を1ページめくっただけで、あの頃のゲレンデの喧騒や、凍える寒さの中で感じた熱気、そして強烈な憧れが一気によみがえってきました。あなたの記憶の中の「最強の相棒」は、どの車でしたか?


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