20cmヒールで時代劇CM!?米米CLUBの異常なこだわりと『浪漫飛行』に隠された野望【90年代雑誌アーカイブ】

テレビから溢れ出た万華鏡。僕らが米米CLUBに熱狂した理由

1990年代、東北の片田舎で多感な時期を過ごしていた僕にとって、テレビは世界と繋がる唯一の窓だった。そんなブラウン管から突如として現れたのが、米米CLUBという巨大なエンターテインメント集団だ。

「一体、何人組なんだ…?」

歌って踊る大所帯、奇抜な衣装、そして一度聞いたら絶対に忘れない「カールスモーキー石井」という芸名。彼らは音楽の教科書には載っていない、まったく新しい衝撃を僕らに与えてくれた。最近見つけた古い雑誌のページをめくると、彼らの「異常なこだわり」が、当時の熱気と共に鮮明に蘇ってくる。

CMは表現の一部。20cmヒールで挑んだ「平成時代劇」

当時の彼らの勢いを象徴するのが、ソニーのビデオテープ「ビデオカセットV」のCMだ。驚くべきことに、米米CLUBは「CMも自分たちの表現の一部」として、企画段階からガッツリ制作に参加していたという。

テーマは「平成時代劇」。カールスモーキー石井さん自らが初の“女優”として、正妻「濃密の君」を演じるというぶっ飛んだ設定。しかも、その衣装スケッチまで本人が描いていたというから、もはやアーティストの領域を完全に超えている。

記事のキャプションを読むと、その狂気じみたこだわりがさらに伝わってくる。

  • 絢爛豪華な天守閣のセットは、金の畳に見えるようパネルを塗装。玉座には薔薇や桃のオブジェが飾られ、完全に「米米流」の世界観。
  • 一度着たら脱げない重い着物とカツラで、撮影はノンストップ。じっとしているだけで汗が噴き出す過酷な現場。
  • 極めつけは、カールスモーキー石井さんとジェームス小野田さんが、着物の下に20cmのヒールブーツを履いて撮影に臨んでいたという事実。スラリと大きく見せるためとはいえ、そのプロ意識は凄まじいの一言だ。

彼らは単なるタイアップ仕事ではなく、CMという数十秒の枠すらも、自分たちの巨大な舞台に変えてしまうクリエイター集団だったのだ。

『浪漫飛行』はJALを狙って作られた?

そして、米米CLUBを語る上で欠かせないのが、ミリオンセラーとなった名曲『浪漫飛行』だ。この曲がJALの沖縄キャンペーンソングとして大ヒットしたのは有名な話だが、当時の記事には「元々航空会社のCM起用を狙って制作されたともいわれる」という興味深い一文があった。

真偽はともかく、あのイントロを聴くだけで、青い空とどこまでも続く滑走路が目に浮かぶ。まだ沖縄が今よりもずっと遠い憧れの場所だった時代、この曲は僕らの心を南の島へと飛ばしてくれた。カラオケで仲間と肩を組んで「トランク一つだけで」と熱唱した時の高揚感は、今でも忘れられない。

時代を超えても変わらないエンタメ魂

ファンとの関係性もユニークで、1995年の読者投稿には「8周年はあっても10周年はない」なんて、彼ららしいスタンスをイジる愛あるツッコミも寄せられていた。こういうやり取りが許されるのも、彼らがファンに愛されていた証拠だろう。

時が経ち、2000年代になっても彼らのエンタメ魂は健在だ。音楽番組で圧巻のパフォーマンスを見せる一方、バラエティ番組では自ら「懐かしい昭和のヒット商品で遊びたい」とリクエストし、巨大な着ぐるみ人形「ジャンボマックス」と共演する。その姿は、いつだって僕らを楽しませようとしてくれる、最高のエンターテイナーそのものだった。

後年、ap bankのフェスで生で聴いた石井さんの歌声は、ふざけた名前(失礼!)からは想像もつかないほどソウルフルで、本物のボーカリストであることを改めて思い知らされた。

あの頃の熱狂をもう一度、手元に。

テレビの前で、カーステレオで、そしてカラオケボックスで聴いた米米CLUBのサウンド。
あの高揚感と、規格外のエンターテインメントを、もう一度その手に取り戻してみませんか?

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まとめ:米米CLUBは音楽グループではなく「現象」だった

改めて90年代の記録を振り返ると、米米CLUBは単なる音楽グループではなく、一つの巨大な「エンターテインメント装置」であり、時代を巻き込んだ「現象」だったのだと確信する。

緻密に計算されたセルフプロデュースと、それを笑いと感動に昇華させる圧倒的なパフォーマンス。彼らが日本の音楽シーンに残した足跡は、これからも色褪せることなく輝き続けるだろう。

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