あの頃、僕らは雑誌のインクの匂いに未来を見ていた
1990年代末期。空前の大ヒットを記録した『ファイナルファンタジーVII』の衝撃が、まだ僕らの心に熱く残っていた頃。次なるナンバリング『VIII』の断片的な情報が、ゲーム雑誌を賑わせ始めました。一枚のスクリーンショット、数行のテキストに、僕らは来るべき冒険のすべてを夢見ていたのです。
当時の価格は7,800円。子供だった僕にとって、それはとてつもない大金でした。親に必死で頼み込んで、地元のWonderGOOで予約した日のことを今でも鮮明に覚えています。予約特典は、角度によってスコールとリノアの絵柄が変わるレンチキュラーカード。もう、それが手に入っただけで世界のすべてを手に入れたような気分でした。発売日には友達と自転車を漕いで、ワクワクしながら店に向かったものです。
E3で世界が震撼! 全世界に向けて『FFVIII』始動!!
そして、ついにその熱狂が世界規模になった瞬間が訪れます。アメリカ・アトランタで開催されたゲームの祭典「E3」。そこで上映されたわずか3分のプロモーションビデオが、会場を揺るがしたのです。
雑誌には、当時のスクウェアの橋本真司氏が「『VIII』から、『FF』シリーズは熟成期に入る」と語ったとあります。前作『VII』でさえ、僕らにとっては完成され尽くしたRPGだったのに、それを超える「熟成期」とは一体どんな世界が待っているのか。期待値は最高潮に達していました。正直、『VII』がすごすぎて、当時は『VIII』を100%楽しめていなかった自分もいましたが…それはまた別の話。
雑誌が切り取った『VIII』5つのキーワード
当時の雑誌は、E3で公開された情報を5つのキーワードで解説してくれています。この言葉の響きだけで、ご飯3杯はいけましたよね。

1. Hero:2人の主人公が織りなす物語
無口でクールなSeeD候補生スコールと、陽気なジャーナリストのラグナ。異なる時代、異なる世界を生きる2人の主人公という設定に、物語の壮大さを予感させられました。
2. Reality:リアル頭身キャラが描く感情
前作のデフォルメされたキャラクターから一転、リアルな頭身になったキャラクターたち。雑誌には「まるで俳優が本当に演技しているかのようにリアルだ」というキャプションが添えられています。モーションキャプチャーで描かれるスコールの仕草やリノアの表情に、僕らはどれだけ心を奪われたことか。(なんだかんだ、リノアが好きだったんですよね…)
3. World:巨大な月が浮かぶ幻想的な世界
近代的な街並みと、ファンタジックな雰囲気を醸し出す巨大な月。このアンバランスな世界観こそが『ファイナルファンタジー』。ページをめくるたびに、この美しくも不思議な世界に引き込まれていきました。
4. Vehicle:高速上陸艇というロマン
軍隊風の一団が乗り込む「高速上陸艇」。船体に武装が確認できるという記述に、少年心はくすぐられっぱなしでした。飛空艇だけじゃない、メカニカルな乗り物の存在が冒険のスケールを無限に広げてくれたのです。
5. Battle:進化したATBによるフル画面バトル
そして、戦闘シーン。ウィンドウ表示が変わり、フルサイズの大画面でド派手なエフェクトが繰り広げられるという情報に、誰もが息を呑みました。この時点ではまだ、あの奥深い「ジャンクションシステム」や、本編そっちのけでハマることになる「カードゲーム」の存在を知る由もありませんでした。
あの頃の熱狂をもう一度、手元に。
雑誌のページをめくりながら想像を膨らませた日々。友達と交わした熱いゲーム談義。
あのディスクに詰まっていた思い出の輝きを、もう一度その手に取り戻してみませんか?
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まとめ
今回は、発売前のゲーム雑誌を元に『ファイナルファンタジーVIII』が始動したあの頃の熱気を振り返ってみました。発売前の情報だけで、これだけ僕らを夢中にさせてくれたゲームはそう多くありません。
大人になってから改めてプレイすると、複雑なストーリーやジャンクションシステムの面白さに気づかされる、まさに「熟成期」という言葉がふさわしい名作です。もし押入れの奥に眠っているなら、もう一度電源を入れてみてはいかがでしょうか。きっと、忘れていた大切な何かを思い出させてくれるはずです。





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