「よってく?」「いいねえ。」ブラウン管から流れた魔法の呪文
「ラララ むじんくん ラララ むじんくん♪」
このフレーズを、メロディ付きで脳内再生できたあなたは、間違いなく90年代という熱狂の時代を生きた仲間だ。僕もそう。当時はまだガキで、田舎の雪景色を眺めながら、こたつでみかんを食べていた頃。宇宙人が、キャバクラでせんだみつおゲームに興じる。、あの不思議なCMが大好きだった。
「しまった。」「よってく?」「いいねえ。」
消費者金融のCMだなんて微塵も考えず、友達と意味もなく真似していたのを昨日のことのように思い出す。あれが一体何なのか、理解するにはまだ早すぎたのだ。

1ヶ月で列島を埋め尽くす、驚異の増殖スピード
今回、書庫の奥から発掘した当時の雑誌広告を眺めていると、その熱量が尋常じゃなかったことに改めて気づかされる。
12月オープン予定 むじんくんコーナー
北海道: 12/9 岩見沢
関東: 竜ケ崎、12/1 荻窪、12/1 二俣川厚木街道
関西: 12/2 JR奈良駅前、12/9 神戸駅前
九州: 12/2 諫早バイパス、12/9 3号線伊敷
これは、たった1ヶ月のスケジュールだ。北は北海道から南は九州まで、まるでウイルスのように、いや、我々の日常に寄り添うインフラのように、むじんくんは日本中に増殖していった。当時すでに全国に630ヶ所。この勢いこそが、90年代という時代の“空気”そのものだったのかもしれない。

広告の隅に隠された「数字」の衝撃。現代との残酷な比較
しかし、僕が本当に衝撃を受けたのは、その広告の片隅に、申し訳程度に書かれた小さな小さな文字だった。
■お利息(実質年率)/13.14%~28.47%
●遅延損害金/年率29.20%-36.50%
この数字の意味が、今の我々には痛いほどわかる。利息制限法が改正され、上限金利が20%に引き下げられた現代から見ると、これは驚愕の数字だ。特に遅延損害金に至っては年率36.5%、1日あたり0.1%という、まさに「1日借りたらトイチ」の世界がすぐそこにあったのだ。
「ご利用は計画的に」という、今もお馴染みのフレーズ。しかし、この金利を背負っていた時代のこの言葉の重みは、現代のそれとは全く別次元のものだったに違いない。会社の先輩が時々お世話になっていた、なんて笑い話にしていたが、その裏には壮絶なドラマがあったのかもしれない。
なぜ、こんなにもシビアな現実がありながら、CMはあれほどまでにポップで、キャッチーだったのか。それはきっと、バブルが弾け、誰もが少しでも明るい未来を、手軽な希望を探していた時代だったからだろう。「誰にも会わずにサッと」という手軽さは、プライドを保ちたい大人たちにとって、最後の砦のような存在だったのかもしれない。

あの頃の熱狂をもう一度、手元に。
あのCMソングが頭から離れないなら、いっそ音楽のタイムカプセルを開けてみませんか?
懐かしいメロディは、忘れていた記憶の扉をいとも簡単にこじ開けてくれます。
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まとめ:僕たちは「むじんくん」と共に大人になった
「地球には、むじんくんがあります。」
広告のこの一文は、今読むと少しだけ物悲しい。あの頃、僕たちのすぐそばにあった「むじんくん」。それは、90年代という時代の光と影を一身に背負った、不思議な存在だった。
意味もわからず口ずさんだあのメロディは、良くも悪くも、僕たちの青春の一部だったのだ。そして、あの広告に書かれた数字の意味を理解した時、僕たちは本当の意味で大人になったのかもしれない。
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